アルプスは裏切らない2

アルプスは裏切らない2

鏡平山荘までの小池新道は岩場の登りですが

本当に良く整備されていて歩きやすい

この道を作ってくださった方々がいると思うと本当に頭が上がりません。

感謝の気持ちで落ちているゴミを拾います。

徳を積むという邪な考えもありながら。。

 そんな良く整備されたとはいえ、それは登山道

パートナーのユウジくんのブーツはどうなるのか?

とりあえずテーピングでも巻いとけよ、と言ってもご本人は大丈夫っしょ!と。

雨だし面倒くさいのも解るがちょっとイラつく

 

鏡平山荘の目前、木道の手前

ユウジくん「あ。。」

ソールのつま先側3割が剥がれる

この時点で加水分解が起きている事が確定

山あるあるとか言いますが、まさか今日かと。

 今できる事はなんだろう?

まずはこれ以上剥がれない様にしなければ

私が用意しているエマージェンシーキットの中で使えそうなのは?

テーピングと細引きかな?

細引きはテントが風などで飛ばされない様に固定する紐であり、靴紐が切れたら代用できたり、物干しに使ったりと万能。しかも私が持ってきたのは引き裂き強度がめっぽう強いやつ。

これで縛ったらいいかな?

「紐使う?」

「いや、とりあえずテーピング巻くわ」

「なべちゃんテーピングすぐ出る?」

出ますよ、そりゃ、エマージェンシーバックは出しやすい所に入れてんだから。

「俺、奥の方にあって取りずらい」

そうだよねー、緊急だからねーすぐ出るヤツが出したらいいよねー。

それがエマージェンシーバックだもんねー

でも紐の方が良くない?雨降ってるし

とりあえず大丈夫。

ふーん。

 もちろん雨を凌げる場所はなく、雨に打たれながら私のテーピングをグルグルと巻く。

ハサミ使う?

大丈夫!手でちぎれるから

何?そのドヤ顔。

まさに応急処置

でも鏡平山荘まではあと少し

 10分くらいですかね

もうテーピングが剥がれ始める笑

騙し騙し歩きながら

木道を歩き始め、本当にあと少しのところで

「なべちゃん紐借りていい?」

結局ここが今日一番の停滞となる。

右だけだったのが左も同じ症状が。。

だから言ったじゃん。は心の中で。

土砂降りの中、紐を結び出す。

「とりあえずキツくギュッて縛っちゃえよ」

山荘も近いので木もなくてただ雨に打たれながら見守っていました。

もうレインウェアの中もビショビショ

寒い。。

おい、いいよ、ギュッて縛って固結びで。

なんとかノットで縛ってんじゃねぇよ。

無駄なテクニック出すなよ。

寒い。

低体温症とか怖いなぁ

などと思いながら、やっと鏡平山荘に到着。

さて、どうしたものか

 この時点で私はほぼ諦めていました

雨による冷えと疲れ、加水分解。

ユウジくんは

あったかいもん食って先に行こうぜ!

何故 お前はそんなにポジティブなんだ

 私は鏡平山荘で一泊を提案

この状況、この状態で今日の予定地の双六小屋までは無理だろうと

もし途中で全部剥がれたら?

きっと私のスキル、経験値では対応出来ない。

リスクしかない。

一年前から計画していたこの山行だが。。

しょうがない。その旨を伝える

ユウジくん

なんで?大丈夫っしょ?縛ったし、行こうよ

なんだ、こいつは。。

こういう時こそ幼馴染。気のおけない仲間で良かった。

いい加減にしろよ(以下 割愛)

 鏡平山荘の名物だというかき揚げうどんを食べながら、今日は泊まれるかと確認

大丈夫。

素泊まり¥11000

高くなったもんだ。果たして我々はどこまで行くのか?完全撤退ならばそれでもいいが、予定を変えるならばこの出費は痛い。

山にATMはない

「なべちゃん双六小屋まで行こう!やっぱり」

そこから考えようよ。

寒さとイラつきで完全に気持ちが切れてしまっていた私

感情が剥き出しになる山歩き、素晴らしい。

鏡平山荘から双六小屋までは約2時間

結局 一緒に歩き出してしまった。。

歩きながら今後の話し合いをした結果

ユウジくんも雲の平まではやはり不安だと

双六小屋で一泊、三俣山荘で2泊もしくは3日目に双六小屋に戻って一泊して下山。

三俣山荘2泊案は、岩魚釣りにたっぷり時間も取れるし、鷲羽岳、水晶岳まで視野に入る

双六小屋を3日目にすれば下山が圧倒的に楽になるし

雲の平は後ろ髪を引かれる思いだがもうしょうがない

こうなったら流れに任せて楽しもう

 

こうなれば気のおけない仲間たち

気持ちもひとつになり、雨は止む気配はない、どんどん濡れていく身体だが気分はとてもいい。

双六小屋までは近くはないが足取りは軽い

やはり山は不思議な場所だ

ユウジくんを先に歩かせ足下を気をつけながら

ゆっくりとしっかり、なんなら冗談とか言っちゃったりしながら登り続ける

 

 そして、その時は来た

「あ!」「あ。。」

それは同時だった。

続きます。